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FV4101チャリオティアは
RAC (Royal Armoured Corps=王立機甲部隊)に
駆逐戦車を配備する必要から1950年代初頭開発されました。
旧式化した巡航戦車クロムウェルの車体に
20ポンド砲装備の新砲塔を装備し再生すると言うものですが
センチュリオンは既に量産中、A45(FV201)標準戦車も開発中でしたから、
これはより軽量・軽快な対戦車車輌を欲したという事でしょう。
何の事は無い、センチュリオンをもってして主力戦車(MBT)と言う
概念を確立させたはずの英国陸軍はまたぞろ重・中・軽と言う旧弊な思想に
取り付かれ始めたのでしょうか。
とにかくチャリオティアはロイヤル・オードナンス(王立兵器廠)にて
1950年に開発開始、1952年には完成し、
同廠とロビンソン&カーシャウ有限工場にて
クロムウェルから200輌改修されました。
そして計画通りRACに配備される事となったのですが・・・
やれ性能不足だ、
弾数が少なすぎる(25発! あのJS-3より3発も少ない)、
信頼性が低いだ、とさんざんな評価を受けます。
だってあなた、元々10年近く前の戦車のリサイクル、当たり前じゃないですか。
そんな事、完成する前からわかっていたでしょうに・・・
結局文句を言いながらもRACは仕方なく
1956年まで本車を配備し続ける事となります。
ですが「実戦には耐え得ない」として当時勃発していた
朝鮮戦争にも引っ張り出される事もありませんでした。
さてそれから数年が過ぎ、RACもそろそろ痺れがきれだしました。
「責任上いちおう数年使ったし、もうそろそろ他のまともな戦車と
交換してもええんちゃう?」
と言う事でチャリオティアは国防義勇軍に下げ渡され、
また外国に身売りされる事となったのです。
まずヨルダンが戦車部隊用に50輌。
そして数は不明ですがパレスチナゲリラに売り渡されました。
1956年シリアにて V号突撃砲G型の向こうに見えるのがチャリオティア
あれ? この時期なんでシリアにあるの(謎笑)
このパレスチナの手に渡ったチャリオティアは
レバノン内戦中1976年に使用されたようです。
そしてイスラエルは10輌のチャリオティアを鹵獲しました。
もちろん中東以外の国に渡ったチャリオティアもありました。
56輌がオーストリアに。
また、フィンランドにも1958年に契約が結ばれ、
1960年に35輌が引き渡されました。
フィンランドのチャリオティアは、
60年代後半に導入され始めた後継車輌のソ連T-54Sと完全に置き換わる
1973年まで同国の主力として配備されていました。
その他のチャリオティアは射撃場の露と消えたそうです。
と言う事で本車は水子じゃなかったんです、ごめんなさい。
とは言えあまり知られていない非常にあわれな境遇の戦車として
皆様の御記憶に留めていただければチャリオティアも成仏できるでしょう。
型式 |
A27M
クロムウェルW
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FV4101
チャリオティア
Mk.7
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開発年 |
1943 |
1952 |
乗員数 |
5 |
4 |
重量 |
28t |
30t |
全長 |
?mm |
8712mm |
全幅 |
2910mm |
3050mm |
全高 |
2490mm |
2590mm |
地上高 |
410mm |
406mm |
履帯幅 |
356mm |
394mm |
装
甲
|
砲
塔
|
前面 |
76.2/90 |
76.2/87 |
側面 |
63.5/90 |
? |
後部 |
57.15/90 |
? |
上面 |
20.32/0 |
? |
車
体
|
前
面
|
上部 |
63.5/90 |
101.6/90 |
下部 |
57.15/67 |
? |
側
面
|
上部 |
31.75/90 |
34.925/90 |
下部 |
31.75/90 |
34.925/90 |
後
部
|
上部 |
31.75/90 |
31.75/90 |
下部 |
31.75/90 |
31.75/90 |
上面 |
20.32/0 |
20.32/0 |
主武装 |
75mm ROQF Mk. V
L37.5
×1
|
83.4mm Mk.1
L64
×1
|
ターレットリング径 |
? |
1632mm |
弾薬数 |
64発 |
25発 |
副武装 |
べサ
7.92mm
機関銃×2
|
べサ
7.92mm
機関銃×1
|
弾薬数 |
4950発 |
3375発 |
エンジン |
ロールスロイス
メテオール
液冷V12
600hp
|
ロールスロイス
メテオール
液冷V12
600hp
|
懸架装置 |
クリスティー式 |
クリスティー式 |
最高速度 |
52km/h |
50km/h |
航続距離 |
265km |
行動半径
104km
|
登坂力 |
25度 |
33度 |
超壕幅 |
2.29m |
2.3m |
超堤高 |
0.91m |
0.9m |
渡渉水深 |
1.22m |
1.2m |
砲塔を後ろ向きにしてます
今回の記事は
Средние и основные танки зарубежных
стран 1945-2000 Часть 1
Military Modelling .com
Arcane Fighting Vehicles
The Tank Museum - Bovington
OnWar.com
TANKS!
を参考とさせていただきました。
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