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第二次大戦末期、連合軍は対ティーガーI用に重戦車の開発に狂奔しました。
ソ連=JS-2 スターリン重戦車
米国=M26 パーシング重戦車
英国=A43ブラックプリンス歩兵戦車、A41センチュリオン巡航戦車
そしてケーニクスティーガーの出現はさらなる開発競争をもたらしました。
ソ連=JS-3、JS-4
米国=スーパーパーシング、T-29〜T34重戦車
英国=A45(FV201)ユニヴァーサル戦車
そうこうするうちに大戦は終結。胸をなでおろす米英軍首脳。
しかしてベルリン戦勝パレード、その彼らの眼前に登場したのがJS-3。
JS-3 ヨセフ・スターリン重戦車/ベルリン戦勝パレードにて
大戦にはあと一歩で間に合わなかったものの
ベルリン戦勝パレードで西側連合軍を震撼させた
かつてない流麗な避弾経始を持つJS-3は
ケーニクスティーガー以上の衝撃をもたらしました。
その結果米国はT43=M103ファイティングモンスター重戦車を、
英国はA45(FV201)ユニヴァーサル戦車から発展させたFV214コンカラー重
戦車を開発しました。
ですが米国がM103と言う解答に辿り着くまで様々な紆余曲折があったように、
英国もコンカラーと言う結論に容易く達したわけではなかったのです。
コンカラー以前に120mm対戦車砲を装備する策として
センチュリオンに白羽の矢が当たりました。
後にコンカラーに搭載される砲ですが、
センチュリオンの車体には少々荷が重すぎました。
そのためまず限定旋回式の外装形式の試作車が造られました。
これがFV4004コンウェイ砲戦車ですが、
すぐに弾片防御のための軽装甲を施した
全周旋回砲塔を持った第二試作車が開発されました。
FV4004 コンウェイ 旋回砲塔型
大仰角による遠距離射程攻撃を可能とするため
砲塔が非常に高くなっている
*当サイト常連のお客様英吉さんの
「砲尾が長く仰角を付けるとセンチュリオンのターレットリング径では
後座長のクリアランスがとれないため
砲耳位置を高く取る事で問題解決を図ったのでは」
と言う御指摘の方が砲塔高さの正しい理由と思われます。
しかしながらJS-3に対抗するに、攻撃力において比肩すると言えど
装甲防御において懸絶した砲戦車では十分なものとは言えませんでした。
このため攻撃力においてJS-3を完全に凌駕するものとして
コンウェイの再開発は続けられます。
そして選択されたのはなんと183mm砲!!
あんたたち自走砲でも造りたいんかと小1時間・・・
とにかく名称も改めたFV4005はコンウェイ第1次試作車同様、
限定旋回式の外装形式を採用。
さすがに手動装填ではなく機力装填を採用したステージ1は完了。
FV4005 ステージ1
さらに全周旋回弾片防御砲塔式のステージ2が完成。
FV4005 ステージ2
しかしながらこのころにはコンカラー重戦車の目鼻も付き、
コンウェイシリーズは結局採用される事はなかったのでした。
ちなみに全周旋回式の同シリーズ、120mmにせよ183mmにせよ
横に射撃しようとするととてもヤバイ事になったそうです。
後にボーヴィントン博物館スタッフが同車を調査した時、
その旋回砲塔はなんと車体に完全に溶接固着されていたそうです。
それって・・・どこが旋回砲塔なの?
今回の記事は
Arcane Fighting Vehicles
The Tank Museum - Bovington
The Russian Battlefield
を参考とさせていただきました。
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