VK70.01 VII号重戦車レーヴェ






VK70.01 VII号重戦車レーヴェ


ええと、のっけからごめんなさいです。
トップの側面図はティーガーIIとの二個一ででっちあげたウソ図面です(笑)
本物はこちら↓


う〜ん、JS-3とかアンパンマン号を彷彿とさせますね(笑)

さてこのVII号戦車ですが、原案は早くも1941年11月に仕様書ができており
それによれば70t(90tとも)級、前面装甲140o、側面装甲100o、
乗員5名のうち3名は砲塔内、2名が車体に配置され、
魚雷艇に使用されたダイムラーベンツ1000hpモーターを搭載し、
時速43.6kmで疾駆するモンスターでした。
この時点では武装は特定されていません。

1941年12月17日にクルップ社が正式に開発を命じられます。
重量上限は鉄道輸送可能な90t。
1942年1月21日、クルップは105o70口径砲
(傾斜30度の160o装甲を1000mで貫通可能)
を搭載するVK70.01案を提出。
エンジンはVI号戦車用マイバッハHL230を採用。
VI号II型と部品共通化を図り生産性向上も考慮されました。
1943年1月には生産開始する予定でした。
1942年4月には計画名称もVK70.01から
Pz.Kpfw.レーヴェ(ライオン)と変わります。
それは戦車の王者にふさわしい
まさに王虎さえしのぐ百獣の王でした。

1942年5月までに6種類のデザインが考えられましたが
ヒットラーによる、より強力な重戦車開発命令により
1942年5月18日に生産計画は白紙化。
同年7月20日には砲塔製作も中止され
試作車さえ完成せぬまま
レーヴェの命は永遠に断たれました。
こののちドイツはマウスと言う
より夢想的で非現実的な
超重戦車開発へ狂奔する事になるのです。

レーヴェ
図面番号 W1662
作成日 1942年4月23日
重量 90t
主武装 105o70口径砲もしくは150o40口径砲
俯仰角度 -8〜+38度
搭載弾薬数 80発(105o砲の場合)
副武装 機関銃×1(弾薬数2000発)
装甲
車体 前面 120o
側面 上部100o/下部80o
上面 40o
砲塔 前面 120o
上面 40o
寸法
全長 11670o
車体長 7450o
全幅 3830o
全高 3085o
履帯幅 900o(1000o)
接地長 4960o
接地圧 1kg/cm^2(0.9)
地上高 500o
走行関係
路上最高速度 35km/h
エンジン マイバッハHL230(700or800hp)
トランスミッション 12EV170
ステアリング L600C
懸架装置 トーション・バー




ティーガーIIの砲塔と比較してみましょう。
側面の場合、明らかにティーガーIIの方が大きく余裕がありそうに見えますが
ティーガーII砲塔後半1/3は砲塔バスルで即応弾庫になっている事を考慮すると
(図の白い部分)側面では差がありません。
これに正面面積や上面面積の大きさを考え合わせれば砲塔内部容積は
明らかにレーヴェの方が上回ります。

次に各部装甲厚の比較です。
名称 ティーガーT ティーガーU レーヴェ
重量 56.9t 69.8t 90t
砲塔 前面 100mm(82度) 180mm(80度) 120mm(70度)
側面 80mm(90度) 80mm(70度) 100mm(70度)
後部 80mm(90度) 80mm(70度) 100mm
上面 25mm(0度) 40mm(0度) 40mm(0度)
車体 前面 上部 100mm(81度) 150mm(40度) 120mm(35度)
下部 100mm(65度) 100mm(40度)
側面 上部 80mm(90度) 80mm(65度) 100mm(60度)
下部 60mm(90度) 80mm(90度) 80mm(90度)
後部 上部 80mm(81度) 80mm(60度) 100mm(55度)
下部 80mm(81度) 80mm(60度) 80mm(55度)
上面 25mm(0度) 40mm(0度) 40mm(0度)
*赤字は推定値です

名称 ティーガーT ティーガーU レーヴェ
重量 56.9t 69.8t 90t
砲塔 前面 101.41mm 183.98mm 131.15mm
側面 80mm 97.41mm 121.76mm
後部 80mm 87.43mm 102.21mm
上面 25mm 40mm 40mm
車体 前面 上部 101.79mm 282.02mm 265.49mm
下部 115.09mm 188.01mm
側面 上部 85.95mm 92.07mm 122.81mm
下部 80mm 80mm 80mm
後部 上部 81.43mm 98.25mm 132.97mm
下部 112.81mm 98.25mm 106.38mm
上面 25mm 40mm 40mm
*避弾経始を考慮した装甲厚です

ティーガーIは恐らく重戦車として全周防御が求められたのでしょう。
ティーガーIIは着実に強化される敵砲火に確実に耐え得る事と
待ち伏せ戦術の重視により前面装甲が特に強化されたものだと思われます。
これらに対しレーヴェは90tと言う過大重量からくる鈍重さを考慮し
再びティーガーIと同様な全周防御が施されたのだと推測します。
砲塔側面積の低減も同様な理由ではないでしょうか。


本記事はPANZER TRACTS No.20-1 Paper Panzersを参考にしました。

02/11/02





偵察戦車VK1602レオパルト

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105o砲型ケーニヒス・ティーガー