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スイスは第二次大戦後、駆逐戦車ヘッツァ−(独)、軽戦車AMX13FL10(仏)、
主力戦車センチュリオン(英)などを導入しましたが、永世中立国と云う立場から
1951年に戦車の独自開発にのりだしました。
この結果、試作車輌KW30(90mmL60砲搭載)、KW30U(20ポンド砲搭載戦車=
Pz.58)を経て、Pz.61戦車(105mmL51砲搭載)が完成。機甲師団に配備されまし
た。
メルセデス・ベンツ製エンジン、ティーガー戦車に範をとった操向装置などドイツ戦
車の影響が大きいですが、特筆すべきは懸架装置でベルヴィル・ウォッシャー・ス
プリングと云われるディスク・スプリングを採用している事です。本システムはこの
Pz.61とその改良車輌であるPz.68系にしか採用されていないもので、そのルーツ
はやはりドイツ戦車でパンター&ティーガーの後継戦車となるべく開発中だった
E50&E75に搭載予定だったものです。コンパクトで車外装備可能、車内容積を
喰わず、射撃ショックの縦揺れの吸収性も良いと、良い事尽くめだったはずにも
関わらず、追随するものが無かったのはひじょ〜な謎です(笑)
脱線し過ぎました。Pz.61はその後レーザー測遠機搭載などの改良を受けPz.
68となり機甲師団に配備、その後も改良が続けられ現在はPz.68/88となってい
ます。
さて、Pzシリーズによりスイス機甲師団の戦車数は充足されましたが、次に歩兵
師団用戦車の近代化が急務となりました。Pzシリーズの配備により余剰化したセ
ンチュリオンが歩兵師団に回されていたのですが、この更新用に開発着手した新
戦車がランボルギーニです。
ランボルギーニとPzシリーズの違いは
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Pzシリーズ |
ランボルギーニ |
エンジン配置 |
ノーマルなリア装備 |
フロント装備 |
車体前部 |
― |
より鋭角的になり耐弾性能が強化 |
主砲 |
105mmライフル |
105mmライフルもしくは120mm滑腔砲 |
主砲装填 |
手動装填(乗員4名) |
自動装填装置(乗員3名) |
自重 |
Pz.61(37t)Pz.68(38t) |
40t |
機関出力(hp) |
Pz.61(630)Pz.68(660) |
1000 |
出力重量比 |
Pz.61(17.0)Pz.68(17.4) |
25.0 |
懸架装置 |
ベルヴィル・ウォッシャー・スプリング
(ディスク・スプリング)
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ハイドロ・ニューマティック
(油気圧)
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1980年代半ばまでに戦力化の予定でしたが、当時すでにテスト段階に入っていた
西ドイツのレオパルトUが性能的にもコスト的にも有望視され、結局ランボルギー
ニは開発中止となったのです。
02/06/29
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