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米陸軍のリパブリックP-47サンダーボルトは第二次大戦中、実用化された唯一の排気タービ
ン付き高々度用単発レシプロ戦闘機です。
アメリカは大戦前からリパブリックP-43ランサーという排気タービン付き戦闘機を実現させてい
ましたがP-47はその正統発展型であり、米海軍のグラマンF4FワイルドキャットとF6Fヘルキ
ャットの関係に酷似しています。エンジンもP-43とF4FがP&W・R-1830「ツインワスプ」1200馬
力、P-47とF6FがP&W・R-2800「ダブルワスプ」2000馬力と同系統です。
もっともかたや陸軍用かたや海軍用ですから競合しているわけではないのですが、リパブリッ
ク、グラマン、両社とも相当意識はしていたようです
2000馬力戦闘機の実用・量産化に成功した米陸海軍は、次のステップとしてP&W・R-4360「ワ
スプメジャー」3000馬力級エンジンを搭載する戦闘機の開発を指示します。
リパブリックはP-47発展型、グラマンはF6F発展型に着手しますが、グラマンは既にF8Fベア
キャットを開発中だった事もあり、やけにカタログ性能だけは良いチャンスボートF4Uコルセア
に3000馬力案は一本化する形で退陣します(これがグッドイヤーF2Gスーパーコルセア)
この時期、米陸海軍は別に自国戦闘機の重量過大を見直し、ノースアメリカンXP-51F〜G、リ
パブリックXP-47J、そしてグラマンF8Fベアキャットもおそらくこの一環として設計されていま
す。
これらの機体はレシプロ戦闘機としては極限的な性能を叩きだしますが、機体軽量化の過程で
火力・燃料タンクなどを削っておりはっきり云って実用的とは言い難くなっています。
相手が軽装甲の日本機で(弱火力で十分)、艦隊防空用(航続距離は短めで良い)のF8Fは実
用化に難がありませんでしたが、P-51とP-47の場合そのままでの量産化はなされませんでし
た。
ムスタングはXP-51FとGの成果を反映させた軽量実用化型P-51Hを開発させます。
P-47の場合、前述した3000馬力エンジン搭載型であるXP-72が火力や搭載量を減らさずにXP
-47Jに匹敵する性能を発揮する事に成功しました。
火力、爆弾搭載量、高空性能、堅牢性、速度性能などトップクラスの能力を兼備したXP-72。
おそらく空戦でも最強クラスでしょう。ですが欧州戦に目途がつき、来る太平洋戦線では航続性
能が第一とされ結局キャンセルされてしまいました。
そして通常型P-47に燃料タンクを増設した大型翼を装備したN型が実用化される事となります。
XP-72にN型翼を装備すればという考えもあったようですが、ジェット機の時代は目前に迫ってい
ました。
02/08/30
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最大出力
緊急出力
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最大速度
(時速/高度)
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最大速度
(時速/高度)
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最大速度
(時速/高度)
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初期上昇率
(m/分/高度)
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上昇率
(m/分/高度)
|
上昇率
(m/分/高度)
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P-51D |
1490
1720
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703/7620 |
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1059/1524 |
835/6096 |
703/9144 |
XP-51F |
1450 |
|
749/8840 |
|
|
1212/5940 |
|
XP-51G |
1675
2150
|
|
796/6950
|
|
|
1793/6096 |
|
P-51H |
1380
2270
|
714/1524 |
745/4572
784/7620
|
|
1631
1016/1524
|
914/4572 |
732/9144 |
P-47C-5-RE |
2000 |
568/1524 |
|
697/9144 |
847 |
635/4572 |
|
P-47D-22-RE |
2000
2300
|
|
|
700/9144 |
945 |
816/4572
802/6096
|
778/7620
714/9144
|
XP-47J |
2800 |
|
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816/10454 |
1494/SL |
1016/4572
841/6096
|
|
P-47M |
2800 |
644/3048 |
729/7620 |
761/9750 |
1074/SL
1067/1524
|
914/4572
808/6096
|
728/9750 |
P-47N |
2800 |
639/3048 |
721/7620 |
751/9750 |
846/SL
808/6096
|
526/4572
777/6096
|
537/7620 |
XP-72 |
3450 |
|
789/7620 |
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1609/SL |
1306/4572 |
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スピットファイア
Mk.21
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2050 |
676/3657.6 |
731/7924.8 |
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762/6096 |
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スパイトフル |
2375 |
658/SL
703/1676.4
|
777/7924.8 |
|
1472/SL |
1244/6096 |
|
フュ−リー |
3055 |
735/2438.4 |
781/5638.8 |
|
1597/SL |
1219/7315.2 |
|
M.B.5 |
2340 |
636/SL
684/1828.8
|
740/6096 |
|
1158/SL
1219/2133.6
|
938/6096 |
691/10363.2 |
CA-15
カンガルー
|
2037 |
592/SL |
721/8047 |
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1110 |
1108/6096 |
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